社内報 No.21|奇跡は財産にならない(内山)

お疲れ様です。
今回は奇跡は財産にならないというお話しをします。

サッカーW杯カタール大会が大きな盛り上がりを見せていますね。

サッカーに全く興味がないひとには関係のないイベントだと思いますが、3歳からサッカー一筋の僕は寝不足の日々を過ごしています。

ちなみにオータムにはガチのサッカーフリークが何人かいます!
僕はどちらかというと競技自体を楽しむ派なので、日本代表を除いては特定のチームを応援することは普段はないのですが、長田さんはドイツのバイエルン・ミュンヘンのファン、新見さんは毎試合ライブで試合観戦するほどイングランドのリヴァプールを応援しています。

他にもサッカー好きな人がいたらぜひ一緒に観戦など行きたいですね!

日本代表が”死のグループ”と呼ばれた予選ステージを首位通過

今回のW杯で日本代表は予選ステージを”死のグループ”と呼ばれるE組で戦いました。

チームの実力を示す数字を簡単に示すとこんな感じです。

◯E組(世界ランクは12月2日現在のもの)
スペイン:世界ランク7位、W杯出場16回、優勝1回
ドイツ:世界ランク11位、W杯出場20回、優勝4回
日本:世界ランク24位、W杯出場7回、優勝0回
コスタリカ:世界ランク31位、W杯出場6回、優勝0回

日本は1998年のフランス大会で初めてW杯に出場し、今回で7大会連続7回目の出場ですが、未だベスト16の壁を破ることができておらず、対してスペインは2010年の南アフリカ大会で優勝、ドイツは2014年のブラジル大会で通算4回目の優勝を飾っています。

コスタリカは日本よりも少し劣るチーム力ですが、ドイツとスペインが抜きん出て強いことは見てわかりますし、サッカーに詳しくないひともドイツとスペインはサッカーが強い国というイメージがあると思います。

そんな死の組で、なんと日本代表は奇跡の首位通過を果たしました。

大会が始まるまでは全く期待されておらず、正直予選突破はかなり厳しいと誰もが感じていました。

これはアジア予選での成績や死の組に入ってしまったという要因だけでなく、戦術面や選手選考の面でかなり不安要素が強く、”いい選手がたくさんいるのに全く期待できないチーム”という評価だったからです。

しかし結果的には下記戦績で予選ステージを突破しました。

第1戦|vs ドイツ:2対1の逆転勝ち
第2戦|vs コスタリカ:0対1の敗戦
第3戦|vs スペイン:2対1の逆転勝ち

相性を踏まえても勝ち目の最も薄かったドイツに奇跡の逆転勝ちを収めながら、最も勝ちが見込めたコスタリカに敗戦、そして絶望的な状況でスペインにまたも奇跡の逆転勝ちで決勝トーナメント進出を決めました。

応援している身としてはドイツ戦の勝利はとても興奮し、コスタリカ戦の失望も大きく、スペイン戦の勝利には更に興奮しました。

W杯はイベント的な要素も強く、とにかく日本を応援してるので、強豪国に勝利したこと、日本サッカーがステップアップできるかもしれないという期待がとても大きく、めちゃくちゃワクワクしています。

反面、今回の予選突破は素直に喜べないのが僕の正直な気持ちです。

今回の結果にはプロセスが伴っていない

W杯は一発勝負なので、大会が始まった以上は結果が重要ですが、日本サッカーがより戦術面での成熟や選手の成長を果たすためには、チームの方針をはっきりとした上で、狙った結果を導き出すためのプロセスが重要です。

W杯本番まで4年間の準備期間で全くその方針が定まらず、ぶっつけの出たとこ勝負で個人の打開力で勝ち負けが決まってきたため、チームとしての成長は全く感じられず、今回の大会は1点すらとることができずに敗退する可能性もあると思っていました。

結果的には奇跡の勝利を2つ重ね、奇跡的に予選突破することができたわけですが、日本のベストな戦力で適切な戦術で臨むことができれば奇跡に頼ることなく予選突破が狙えたのではないかと思いますし、奇跡である以上は再現性のない事象に過ぎません。

もちろん実力で劣る強豪国に勝つためには一定の運も必要にはなりますが、それでも日本の戦力であれば勝率を可能な限り高めて引き分け以上を目指すことができたはずです。

しかし今回の勝利は戦術的要素がほとんどなく、本来であれば20%程度まで高められるはずの勝率を高めることができず、20回に1回の勝利を奇跡的に2連続で引き当てたという印象です。

しかも最も勝てる見込みの高かったコスタリカ戦ではこの4年間ずっと抱えていた課題をそのまま露呈して負けました。

これが最も大きな問題点だと思います。

戦力的に勝っているコスタリカにはチーム戦術が未熟なために実力で負け、強豪国には普段とは全く違うやり方をぶっつけ本番で試した結果、奇跡的に勝てたというのが実情です。

チームとして4年間積み重ねたもので得た結果はコスタリカ戦の敗戦だけだというのが僕の感想です。

出場選手はとても頑張っていて、感動を与えてくれますが代表チームとしての4年間のプロセスが全く感じられないのが非常に残念だなと思っています。

奇跡は財産にならない

サッカー評論のようになってしまいましたがここからが本題です。

奇跡とは「常識では起こるとは考えられないような、不思議な出来事。特に、神などが示す思いがけない力の働き。また、それが起こった場所。」とあります。

奇跡によって大きな成果を得たり、人生が大きく開けるタイミングになったりするのは素晴らしいことですが、間違いなく安定的な成果にはつながりません。

重要なのは”再現性”です。

再現性とは本来は実験用語で「科学実験などにおいて、所定の条件や手順の下で、同じ事象が繰り返し起こったり、観察されたりすること。」とあります。

ビジネスの場面で使われる再現性という言葉は、同一の手順や手法を経て得られる結果が概ね一定であることを指します。

例えば、20年のベテランでも新卒1年目の新人でも一定の売上があげられる教育方法や営業手法は「再現性がある方法」と表現され、売れるかどうかは完全にその人次第な場合は「再現性がない(属人性が高い)」と表現されます。

奇跡とはまさに再現性のない結果であり、ある意味誰でも得られる結果ですし、誰も得られないかもしれない結果です。

誰もが一定の成果をあげられる可能性が高くなければ、安定的な組織運営や経営はできず、既存の人の能力頼りなので拡大ができません。

逆に組織の様々な活動の再現性が高まれば高まるほど、その組織は”ひとの多様性”が受け入れられるようになり、組織をどんどん拡大することができるようになります。

結果的により多くの人が成果を出せるようになり、多くの人を幸せにする組織に発展していくわけです。

そして再現性の高い手法や手順はマニュアルやノウハウとして継承していくことができ、組織や社会にとっての財産になっていきます。

逆に奇跡には再現性がないため、”奇跡的な結果”以外にはなにも残りません。

サッカーの話からかなり飛躍しましたが、結論は再現性のあるプロセスを構築していくことが重要であるということです。

最たる例が教育です。

教育とは国や組織、集団・団体が目指すべき人格や知識・教養を持ったひとを育てるための”教えるプロセス”です。

オータムではまさにエンジニア教育に力を入れていますが、これはエンジニアとして活躍できる一定の技術や考え方を誰もが身に着けられるプロセスを構築していることに他なりません。

リーダーや教育者、または経営者を目指しているひとは特に再現性のあるプロセスの確立を心がけてみてください。

これは個人においても同じです。

無理なダイエットや厳しすぎる生活ルールを設定してしまうと、長続きせずに結局ゆるいルール設定よりも得られる成果が少なくなることはよくあります。

長続きしない=同じ行動をとり続けることが困難=再現性がない

ということを理解して、再現性のあるプロセスを構築しましょう。

特に個人においては人それぞれに許容できる程度があるので、無理のない負荷を課すことが重要です。

そのバランスが取れたときに最も大きな成長曲線を描くことができます。

サッカーの話から始まって長くなってしまいました、、

今回はここまでです。

6日0時からは決勝トーナメント第一戦、日本 vs クロアチアです!

サッカーに興味ない方もぜひ心のなかで応援してください!

内山